ロカボや緩やかな糖質制限では、食後高血糖は絶対に防げません。
- 糖質制限
先日、商談先でローソンのブランパンの話になりまして、あれは血糖値がダダ上がりしますよなってお話すると、
「え〜?!ブランパンって上がるんですか?!食べてました…。」
と(笑)
この方、昨年から糖質制限に取り組まれてらっしゃるとのことです。
糖質制限を長く続けておられる方は、ローソンのブランパンは血糖値が上がることを割とご存じだったりするのですが、最近始められた方は、皆さんご存じないんですね。
まあ、ローソンのブランパンだけじゃなくて、その他ロカボ商品や糖質40~50%オフなんてのは、軒並み血糖値が上がりますが。
最近流行りの、糖質量を総摂取カロリーの4割以下、1日の糖質量を150g以下に抑える「緩やかな糖質制限」や1回の糖質摂取量を40gまでとする「ロカボ」では、当たり前ですが血糖コントロールなんて出来ませんし合併症も防げません。
それは何故か?
順番に説明していきますね。
自らが1型糖尿病で、炭水化物を制限することで血糖値を正常化する、謂わば糖質制限の元祖と言ってもいいアメリカのリチャード・K・バーンスタイン医師によりますと、
1gの糖質が、
2型糖尿病患者の血糖値を3mg、
1型糖尿病患者の血糖値を5mg
上昇させます。
例えば、2型糖尿病の方で、一回の糖質摂取量を40gだとすると、40g✕3mgで120mg/dl血糖値が上がります。
空腹時血糖値が100mg/dl~110mg/dl未満と正常な数値でも、40gの糖質を摂取すれば、そこから120mg/dlも血糖値が上がるわけですから、血糖値のピークは220~230mg/dlとなってしまいます。
糖尿病合併症は、血管が傷害されることによって起こります。
食後血糖値が180mg/dlを超えると、血液中の糖によってリアルタイムに血管の内側が傷つけられます。
簡単に言えば、糖そのものが血管にとって悪いものなんですよ。
高血糖の状態が続けば続くほど糖が血管を傷めていきますから、血管がボロボロになっていくのは分かりますね。
血管がボロボロになったらどうなるかと言うと、
・目の血管が傷害されると網膜症で失明
・腎臓の血管が傷害されると腎障害で透析
・足の血管が傷害されると足の切断
・心臓の血管が傷害されると心筋梗塞
・脳の血管が傷害されると脳梗塞
となります。
因みに、これらの合併症を防ぐための血糖コントロール目標値は以下とされています。
空腹時血糖値 優 80~110mg/dl未満
良 110~130mg/dl未満
食後2時間血糖値 優 80~140mg/dl未満
良 140~180mg/dl未満
また、現在の糖尿病治療では
『グルコーススパイク(空腹時血糖値と食後高血糖値の差)が大きいほど、大きな血管の内皮が傷付けられ、動脈硬化になりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症の危険性が高まる』
ことが分かって来ています。
緩やかな糖質制限やロカボでは、100mg/dl~110mg/dlから220~230mg/dlへと、120mg/dlもの血糖値の上昇とグルコーススパイクを、1日3食、食事の度に繰り返すのですから、理論的にも現実的にも合併症の予防は不可能なのがよ〜くお分かりいただけると思います。
くどいですが、上記のように、ロカボや緩やかな糖質制限では、食後高血糖は絶対に防げません。
「ロカボ」「適正糖質」なんて謳って、何となく良さそうなイメージで販売してますが、欺瞞以外の何物でもないので、くれぐれもお気をつけください。