糖尿病の誤解 遺伝性の糖尿病って?
- 糖尿病
川の向こうで織姫さんが手を振っている夢を見ました。
あの川は、天の川だったのでしょうか、それとも三途の川だったのでしょうか。
危うく渡りかけた、あらてつです。
手を振っていたのは本当に織姫だったのでしょうか?
まあ、誰が手を振っていようが、そんなことは皆さんにはどうでもいいと思うので、本日の話題。
今回は、糖尿病にまつわるいろんな誤解を解きます。
これも以前に書いた記憶があるのですが、復習がてらお付き合い下さいませ。
まず、糖尿病の分類から行きましょう。
糖尿病は、現在二つに分類されておりまして、一つは患者数が多い「Ⅱ型糖尿病」、もう一つがよく誤解されている「Ⅰ型糖尿病」です。
で、「Ⅰ型糖尿病」ですが、世間一般では、「遺伝によってなる病気」などと思われている方が多いです(なんと医者の中にもそう思ってる方もおられますし、実は、私もそうでした)。
以前、私どもに取材にきたテレビ局の方二人も、「Ⅰ型糖尿病は遺伝ですよね」なんて仰ってました。
これが誤解でした。
Ⅰ型糖尿病は、自己免疫疾患という病気です。
自己免疫疾患というのは、本来なら体を守るはずの免疫細胞が、自分の細胞を異物とみなして攻撃してしまう病気です。リウマチも自己免疫疾患だといえば、「ああ!」って思われる方も多いのではないでしょうか。
どのような経過で発症するのか、簡単ですが説明しますと、膵臓が何らかのストレスにさらされたり、ウイルスに感染したなど(最近の研究では、ほとんどがウイルス感染らしいです)をきっかけに、免疫機能が誤作動し、免疫細胞がランゲルハンス島にあるβ細胞(インスリンを作る細胞)を攻撃してしまいます。
すると、インスリンを作るβ細胞はどんどん破壊されていき、やがてインスリンが分泌できなくなって血糖の処理ができなくなり、糖尿病の発症となります。これが、Ⅰ型糖尿病です。
遺伝する病気じゃなかったんですねー。
これ大事なんですが、ウイルスに感染して自己免疫疾患を起こすと聞いて、「Ⅰ型糖尿病って伝染するんですか。」って何名かの方から聞かれましたが、
伝染しません。
これこそとんでもない誤解です。
このような誤解は捨て去って下さい。
重ねて言いますが、他者に感染する疾患ではありません。
さて、Ⅰ型糖尿病が自己免疫疾患だと分かったところで、Ⅱ型糖尿病にいきましょう。
Ⅱ型糖尿病は、食べすぎ飲みすぎ運動不足や過度のストレスなどといった、生活習慣によって発症すると言われています。
これはこれで間違いではないのですが、同じような食生活を繰り返していても、発症しない方もおられます。
これは何故かと言いますと、糖尿病になりやすい遺伝的体質があるから。
この糖尿病になりやすい体質に、食べすぎ飲みすぎ運動不足や過度のストレスなどが重なると、より発症しやすいんですね。
ですから、冒頭の質問、「遺伝の糖尿病ってあるんですよね」は、Ⅰ型糖尿病ではなく、一部のⅡ型糖尿病がそれにあたります。