続・糖尿病と糖質制限 おさらい編
- 糖尿病
- 糖質制限
ちょこちょこ書いていくシリーズ、今回は、従来のカロリー制限する糖尿病食と「糖質制限」との違いについてです。
で、その前に、「糖質制限」の補足説明を少々。
「糖質制限」は、血糖値を上げる唯一の栄養素である「糖質」を制限することにより、血糖値の上昇を防ぐという糖尿病治療食だとのお話を昨日書きました。
「糖質」が血糖値を上昇させるのは生理学的な事実であり、これについては疑問や反論の余地は全くありません。
よほどの特異体質(?)で無い限り、「糖質」を食べれば血糖値は上がります。(そんな特異体質聞いたことありませんし…。)
この、「糖質を制限する」食事療法、日本では馴染みがないですが、実はこれ、欧米では糖尿病治療の主流となっているんですね。
日本では、なんでも欧米のマネをしたがるのに、なんでこれはマネせんのか不思議で仕方ないのですが…。
さて、本題。カロリー制限食と「糖質制限」との違いに行きましょう。
カロリー制限すると、最初のうちは血糖値が下ります。これは何故かと言いますと、カロリーを制限すれば絶対的な食事量が減ります。すると、相対的に食事全体に含まれている「糖質」も減りますよね。
分かりやすく言うと、定食屋で『焼肉定食』を頼んで食べる量を半分にすると、カロリーもご飯の量も半分になります。そうしますと、今まで食べていたよりも「糖質」の量が減るので、その分だけ血糖値は上がりません。
しかーし、ここで問題が出てきます。
かなり簡単に説明すると、一般的に生活習慣病と呼ばれているⅡ型糖尿病は、長年にわたってインスリンを出し続けてた膵臓のベータ細胞が、ついに疲れきって死んでいき、インスリンを出せなくなって起こる病気です。
上記のカロリー制限する治療食だと、半分だろうがご飯は食べますから、「糖質」を摂取することには変わりありません。すると血糖値は上がりますし、疲れた膵臓からまたインシュリンが分泌されてしまいます。
症状が軽いうちは、半分の量の「糖質」をなんとか処理できますが、このような食事を繰り返していると、「糖質」を食べるたびにインスリンが分泌されてベータ細胞の死滅に拍車をかけ、どんどん症状が悪化していきます。
それが証拠に、カロリー制限で最初のうちは血糖をコントロールできていても、徐々にコントロールできなくなって症状が悪化、合併症へと到り、糖尿病性網膜症で失明する方が年間三千人、糖尿病性腎症で透析になる方が一万人、糖尿病で亡くなる方が一万人にも上ります。
<つづく>