砂糖は昔から薬に使われてたから、糖質が身体に悪いハズがないそうですのよ。
- 糖質制限
バイクが調子悪いんで、お世話になってるバイク屋さんに持って行きました。
その時に、車も先月入院してたなんて話をしてましたら、バイク屋のオーナーさん、
「こんな仕事してますし、ハーレーとかビューエルとか扱ってるんで、イメージでシボレーのトラック乗ってますけど、普段は軽(自動車)ですからねぇ。
パッとエンジン掛るしパッと乗れるし狭い道でも入って行けるし、家族四人乗れるし、なんと言っても故障しませんし。
軽で充分なんですよね。」
そうですよね、私も普段の移動はバイクか会社の軽ですし…。
「けどね、男として何か大切なモノを失ってるような気がするんです。」
「それ分かります!」
激しく同意して帰ってきた、あらてつです。
これって、オトコのロマンなんですかね?
沈む夕日に問いかけても答えは返ってこないので、本日の話題。
以前に読者の方から教えて頂いた糖質制限批判本
“「糖質制限」は危険!”
その中に
「砂糖は昔から薬として使われていた。また「甘麦大棗湯」という漢方薬などは相当甘いが不眠症や神経症に効果がある。よって糖質が体に悪いわけがない」
なんて記述がありまして、あまりにもレベルの低い糖質制限危険論に唖然としたことがあります(笑)
今日は、この話をば。
まず、甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)ですが、不安や緊張、イライラするなどといった精神的な症状を改善する、鎮静作用のある漢方薬です。
漢方薬は、一つの生薬を単独で使うことは稀で、患者さんの“証”に合わせ、様々な生薬を組み合わせ処方されます。
この甘麦大棗湯も、甘草・小麦・大棗(ナツメの実)の3種の生薬の組み合わせで、それぞれの薬効が、
甘草:鎮痛作用・抗痙攣作用・鎮咳作用
小麦:鎮静作用・催眠作用
大棗:健胃作用・強壮作用・利尿作用・鎮静作用
となっており、組み合わされることによってより高い効果を発揮します。
漢方薬と言いますと、民間療法の延長で、なんだか胡散臭いイメージを持たれている方がお医者さんの中にもおられますが、全然そんなことはございません。
最近、個人個人に合わせた処方というのがしきりに言われますが、漢方では、そんなことは4000年以上も前からやっております。
例えば今回出来た鎮静作用にしても、ただ単にイライラしてる・不安感があるなどの症状だけを診るのではなく、その人その人の体質やらを診て、生薬を合わせて処方します。
まず診察に来られた方の脈を診て、舌を診て、それからお腹を診て、その人の体質と症状に合わせて生薬を組み合わせ、漢方薬が完成します。
こうして処方された漢方薬は、例えば同じ鎮静作用のある薬でも、Aさんに処方される漢方薬と、Bさんに処方される漢方薬では、全く内容が違います。
いうなれば漢方薬とは、個人個人に合わせたスペシャルブレンドで、この生薬の組み合わせが、漢方医の腕の見せ所だそうです。
ここまで長々と書いていますが、結局のところナニが言いたいのかと言いますと、
タワケっ!
甘いから効いてるのではないわ!(海原雄山風に)
因みに。
甘麦大棗湯もお薬です。
お薬なので「作用」があれば「副作用」もあります。
漢方薬では有名な小太郎漢方製薬株式会社さんのHPによりますと、
【重大な副作用】
1. 偽アルドステロン症:
低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
2. ミオパチー:
低カリウム血症の結果としてミオパチーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。[使用経験が少ない。]
とあります。
「砂糖は昔から薬として使われていた。また「甘麦大棗湯」という漢方薬などは相当甘いが不眠症や神経症に効果がある。よって糖質が体に悪いわけがない」
なら、
なんでこんな副作用があるんでしょうね。
それにね。
砂糖は昔から薬として使われていた。
って、いつの話やねんって。
13世紀のイタリアにトマス・アクィナスという神学者が居ました。
この神学者さんが、
「砂糖は消化促進などに効果がある薬だから断食期間中に摂取してもよい」
と言い出したので、薬として売買されるようになったそうです。
別に砂糖くらい薬や言わんでも、普通に食うたらええやんけと思うなかれ。
当時のヨーロッパでは、新しい食べ物、例えばお茶やチョコレートやジャガイモなどは
「こんなに美味しいものはきっと悪魔の所業に違いない」
と、断罪されたそうです。
砂糖もこれと一緒で、初めて口にする甘くて魅惑的な甘味に、
「おのれ悪魔め!」
と一旦はなりかけましたが、めくるめく甘さの誘惑には勝てず、
「そや、薬ゆうことにしたら堂々と食えるやん!」
なんて考えたのかどうだか分かりませんが、見事薬として食されることになったのだとか。
それが証拠に、ペストに効くとか粉状にしたら目に効くとか風邪に効くとか、どう考えたって効くわけのない効能が謳われていました。
早い話、薬でもなんでもなく、ただ食べたいだけだったみたいです。
これって、何か現代人にも当て嵌まるので笑ってしまいますが。
あと、これは根本的なとこなんですが、糖質制限って、一部のカゲキな方(笑)を除けば、糖質の過剰摂取が駄目ですよって言ってるだけで、「糖質=悪」なんて誰も言ってません。
さっきの「砂糖は薬だった」もそうですが、そもそものところでこの著者の方の主張、根拠が無さ過ぎですね。
この方、そんなに「糖質が身体に悪いはずがない」とお思いでしたら、毎日好きなだけ糖質食って、身体がどうなるか試してみればよろしい。
で、風邪引いたら砂糖飲んで、眼病になったら砂糖を粉にして目に入れてみりゃいいんですよ。
それで風邪やら目が治ったら、「砂糖は薬だから糖質は身体に悪くない」って、あなたの主張を少しは認めてあげましょう。
まあ。
それで治ったらの話ですけどね。