正常人の随時血糖値についてご質問頂きました。
- 糖尿病
今朝起きて掃除して朝食の準備する間、ストーブをつけてませんでした。
なんと素晴らしい!
昨日今日と事務所の中ではシャツ1枚で過ごせてます。
週末気温が下がるらしいですが、週明けはまた上がるそうです。
ぶらぼーです!
ストーブつけずに済んで、エルニーニョ現象バンザイなあらてつです。
このまま冬終わって欲しい!
というわけで。
暖かくてちょっぴりゴキゲンな今日の話題。
さつきさんから、正常人の随時血糖値についてご質問頂きました。
『あらてつさんこんにちは。いつも参考になるブログをたのしく拝見させて貰ってます(*^_^*)
正常人の随時血糖値について質問です。
糖質制限をはじめて約3年になります。
現在はスーパー糖質制限で毎食糖質20グラム以下を心がけています。
本日、昼食後約2時間で血糖値105でした。
3か月前同じ時間帯では方時は90でした。
3か月前は今より多少緩めの糖質制限でした。(糖質低めの野菜を今よりたくさん食べていました)
今回、以前より糖質を制限しているにもかかわらずこのような数値になってしまいとてもショックです。原因はどうゆう場合があるのでしょうか?
また、随時血糖値が上がるということは太りやすくなるのでしょうか?
私は年齢32歳痩せ形甲状腺機能低下症もちです。』
コメント&いつもブログをお読み頂いてありがとうございますm(__)m
さて、ご質問の件ですが、日本糖尿病学会の
『75g経口ブドウ糖負荷試験 (75gOGTT) および、空腹時血糖値による判定基準』
では、「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ120分後血糖値が140mg/dl未満を満たせば正常型」
とされています。
さつきさんもご自身で正常人と書いておられるので、この基準に当てはめると全然問題無い事になります。
全然問題ないので心配のし過ぎではないかなと思うのですが、そんな答えでは安心できないかもなので、考察してみましょう。
何故3ヶ月前より血糖値が上がったの?なのですが、私が思いついた原因は
1,測定器の誤差
2,食材の糖質が多かった
3,体調
4,甲状腺機能低下症が影響している?
といったところでしょうか。
順番に解説しますと、まず自己測定器ですが、10mgや15mgの誤差はしょっちゅうですし、同じもの食べても微妙に数値が違ったりします。
食材の糖質についても、五訂栄養成分表通りの糖質が含まれているかと云えばそうじゃありません。
ほうれん草でもキャベツでも、売り場に置いてあるのが全部同じ栄養素なんて有り得ないです。
なので、本やらネットに出てる栄養素は、あくまでも目安だと思ってください。
体調については言わずもがなですね。
最後の「甲状腺機能低下症が影響している?」ですが、済みません、これは私には分からないので、主治医の先生にお聞きくださいね。
という訳でさつきさん、多分、恐らく、糖尿病に進行しているワケじゃなくて心配のし過ぎだと思います。
一度、いろんなパターンで食後血糖値を測ってみてください。
そうすれば、これくらいの誤差は出てくることがお分かり頂けるでしょう。
ただ、私の答えはイマイチ説得力がなくて不安が拭えないかもなので、以下、江部康二先生の2015年11月18日 (水) のブログを引用させて頂きますので参考にしてみてください。
それでも心配が消えなければ、一度医療機関を受診してみてくださいね。
■ 糖尿病あるいは境界型、早期発見のために
糖尿病早期発見の流れにおいて大切な二つの概念について、考えてみます。
・IFG(Impaired fasting glucose): 空腹時血糖異常
・IGT(Impaired Glucose Tolerance): 耐糖能異常
IFGとIGTは、糖尿病を発症する前段階です。
この段階で発見できれば、とても好ましいです。
<75g経口ブドウ糖負荷試験 (75gOGTT) および、
空腹時血糖値による判定基準(日本糖尿病学会)>
A) 正常型
「空腹時血糖値が110mg/dl未満かつ
120分後血糖値が140mg/dl未満」を満たせば正常型。
B) 境界型
正常型にも糖尿病型にも属さない場合を言う。
具体的にはWHO分類のIGT、IFG、IFG/IGTがある。
1) 2時間値が140-199mg/dlとなる耐糖能異常であるIGT (Impaired Glucose Tolerance)
IGT単独なら早朝空腹時血糖値は110mg/dl未満で正常である。
2) 空腹時血糖値が110-125mg/dlとなるIFG (Impaired fasting glycaemia)
IFG単独なら75gOGTTにて2時間値は140mg/dl未満で正常である。
3) 両者の合併であるIFG/IGT
の3つのパターンがある。
C) 糖尿病型
①「空腹時血糖値が126mg/dl以上または120分後血糖値が200mg/dl以上」
を満たせば糖尿病型。
② 随時血糖値200mg/dl以上は糖尿病型
③ HbA1c≧6.5%は糖尿病型
<糖尿病の診断>
1) ①②の糖尿病型(血糖値が糖尿病型)を、異なる日に2回確認できたら糖尿病と診断。
2) <「①或いは②」+③>は糖尿病と診断
3) ③単独の場合、再検査で血糖値が糖尿病型なら、糖尿病と診断
4) 血糖値が糖尿病型で糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)があるか
糖尿病網膜症があれば糖尿病と診断
*糖尿病の診断には血糖検査は必須であり、HbA1cだけでは診断できない。
<境界型段階で発見するには>
早朝空腹時血糖値は、健康診断で検査するので、IFG(Impaired fasting glucose: 空腹時血糖異常)があれば、発見できるでしょう。
これに対して、IGT(Impaired Glucose Tolerance: 耐糖能異常)、いわゆる食後高血糖タイプは、会社の健康診断では空腹時しか検査しないので、見過ごされます。
IGTのほうがIFGより、確率的には多いので、現行の健康診断のシステムには、問題があります。
判定基準では、摂取後2時間血糖値の測定ですが、糖尿病の家族歴がある人が身を守るには、食事開始1時間後の血糖値を測定してみるとよいでしょう。
早期の段階では1時間値の方が高値となりやすいのです。
例えば朝8時に糖質ありの食事を開始したら、午前9時に採血です。
180mg/dlを超えているなら、将来糖尿病になりやすいのです。
病院に行くのが面倒くさい人は、午前8時に糖質ありの食事を開始して、午前9時30分に検尿です。
市販の検尿試験紙でOKです。
食後の尿糖が陽性なら、ピークの血糖値が170~180mg/dlを超えていた可能性が高いので、今度は食後1時間血糖値とグリコアルブミン(GA)を測定しましょう。グリコアルブミンは、食後高血糖を鋭敏に反映します。
なお献血に行くと、GAを無料で検査して貰えます。
残念ながら血糖値の検査はありません。
以下は献血時の無料採血の項目です。
1)血液型検査
2)赤血球・白血球・血小板など血球計数検査
3)生化学検査:グリコアルブミン、GPT、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、
コレステロール、アルブミン対グロブリン比、コレステロール
江部康二