糖尿病を発症していなくても、糖質を摂れば血糖値が上がっちゃうお話
- 糖質制限
『いつも楽しみに拝見させて頂いております。 私は糖尿人では無いですが、低糖質食に非常に興味を持っており、折を見て取り入れるようにしています。先日、血糖値測定器を購入し、食事をする度に血糖値を計っているのですが、確かにパスタはほとんど血糖値が上がりません。 丁度今日の晩ご飯はパスタでした。エリンギとほうれん草のガーリック醤油オイルのサーモンカルパッチョ乗せを食べました。麺は100g。食後1時間血糖値は110でした。 糖尿人では無いからでは?との意見もありそうですが、昨日はパスタ同様100gとおにぎり1個で食後1時間血糖値145、ラーメンを食べたりするとだいたい160overになったりします。 イタリアンは他の料理法と比べて良質な油も取れますし、思いの外肉系は少なく、魚と野菜がたんまりと取れますし、個人的にはピザさえ避ければ相当優秀な低糖質系食なのかなーと思っています。』 みやびさん、いつもご覧頂きまして、ありがとうございます。また、貴重なご報告、ありがとうございます。 みやびさんの血糖測定結果に出ていますように、糖尿病を発症されて無い方でも、糖質、特に精製されたものを食べますと、血糖値は上昇します。 1gの糖質が2型糖尿病の方の血糖値を3mg/dl、1型糖尿病の方だと5mg/dl上昇させるのは、もう皆さんご存知だと思いますが、健常者の場合でも、1gの糖質で1mg/dl血糖値が上昇します。 ただ、健常者の場合は、血糖値が上がっても即座にインスリンが分泌されて、血糖を取り込むか中性脂肪に変えちゃうので、高血糖状態は持続しませんが、逆に言えば、それだけインスリンを分泌しているわけで、膵臓に負担をかけているのは想像に難くないですね。 特に、みやびさんが測定された「白ごはんのおにぎり」や「精製された小麦粉で作ったラーメン」は、それこそ一気に血糖値を上げてしまいます。 これらを食べるごとに、膵臓からインスリンがどばどばーと分泌されるわけですが、現代人の食生活は、もはや「精製された糖質」に支配されているといっても過言ではない(?)ので、1日3食、おやつ食べる方ならもっと、この「インスリンどばどばー」が繰り返されるわけです。 こんな生活を、1年間365日、それを数十年にわたり続けていると、さすがに膵臓もギブアップ状態になりまして、疲れ果てたベータ細胞が死んでいき、糖尿病の発症となります。 何度も書いておりますが、基本的には、人間の体は、糖質を大量に摂るようにはできていないんですね。 それなのに、糖質、しかも一気に吸収されて、一気に血糖値を上げてしまう、精製された糖質を毎日山盛り食べているのが、高度経済成長期以降の我々です。 一気に上がって一気に下がる、空腹時の血糖値と食後の血糖値の差を、「グルコーススパイク」と言いますが、こいつが脳梗塞とか心筋梗塞といった、血管性の疾患の原因であることは、欧米においては、もはや常識です。 この空腹時の血糖値と食後の血糖値の差が大きければ大きいほど、血管に障害を与えるのですが、糖尿病じゃなくても、精製された糖質を食べる食生活を続けると、「グルコーススパイク」が日常的に起こります。 みやびさんから頂いたデータを見て頂くと、このことがとても良く分かりますよね。 健常人でも起こる「グルコーススパイク」、近年、こいつが様々な疾患の原因になっているのではないかと、考えられています。 で、パスタを食べて血糖値が上昇していないのは、デュラムセモリナは精製してないので、普通の小麦粉のように、即時に吸収されません。 ですから、デュラムセモリナで作ったパスタのGIは低く(GI50)、「グルコーススパイク」が起きにくいんです。 で、伝統的なイタリアンは、「グルコーススパイク」が起きにくいから、代謝が安定する、代謝が安定するから、血管障害やら心臓病やらアレルギーが起きにくい、なので、糖尿病も少なかったんでしょうね。 そもそも、イタリア料理に限らず、伝統的な料理ってそれぞれ経験的に“体に良いもの”が選ばれて残って来たと思うんです。 「フランス人は、肉食が多く脂肪をたっぷり摂るのに、心臓病が少ないのは赤ワインの所為だ」なんていいますが、私はちょっと違うと思います。 おそらく、昔ながらのフランス料理って、精製した糖質の摂取量が少ないのではないかなと。 ですから、糖尿病を発症されておられない方でも、精製された糖質を控えることが、「ミニスパイク」を防ぎ、糖尿病のみならず、様々な疾患の予防に繋がるわけですね。]]>