糖質制限と消費カロリーと基礎代謝
- 糖質制限
『カロリーはやっぱり気にします。 糖質制限食といえど限度があり、カロリーも気にしないと食べ過ぎた分は体にため込むということを伺ってから、肉や魚、糖質ゼロをうたったハムやウインナーでも、加減しながら食べているめいりんです。 食品成分表を参考に、一日に摂取した糖質とカロリーを割り出しているのですが、適正量はどれくらいなものでしょうか。 体格や、仕事内容によってもまちまちでしょうが、私の場合、摂取総カロリー850~1000kcal未満、糖質60前後です。身長160cm、デスクワーク中心です。 いけないと思いつつ、バナナを1本食べてしまうので糖質が上がってしまいます。40前後に抑えたいとは思うのですが。 以前お話した父も、糖質制限にも慣れ、そしてカブ中からも脱出でき、肉魚介類野菜の食生活なのですが、ところが体重は1kgと少し減ったのみです。 というのも、ごはん、うどん食べなきゃいいんだろ!と肉魚介類をドカ食いです…摂り過ぎはアカンよーというのですが、焼酎と一緒で好きな飲み食いの習慣は、長年染み付いて改まりませんね。 あんまり、食べ方に意見すると父はキレそうになります… でも、順調に体重減の私の現実を見れば、キレるわけにはいかないようです。』 めいりんさん、いつもコメントありがとうございます。 20~40代の女性の平均的な基礎代謝が、約1200kcalと言われています。めいりんさんの場合、摂取総カロリーが、850~1000kcal未満とのことなんですが、う~ん、若干、少いような気もします…。 ただ、個人によって、運動量や消費カロリーが違うので、一概にこれくらいが適正ですよ~と言えないんですね。 で、お答えに困っていたら、江部康二先生のブログにいい記事があったので、以下、抜粋させていただきます。 <江部康二先生ブログ 2008年8月5日の記事より> 「同一カロリーの摂取であれば、何を食べても減量効果は変わらない」というカロリー神話は、大多数の医師・栄養士において現在も根強い信仰のようになっています。 私もかつてはカロリー神話を信じていましたが、人体の生理・代謝を系統的に理論的に考察してみると、はっきり間違いということがわかりました。 カロリー制限食と糖質制限では、痩せる効果に大きな差があるのですが、「糖質制限」でやせるメカニズムに関しては、以下の四つの要素が重要です。 「糖質制限」では、糖質を摂取しないので 1 肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がほとんどでない。 2 体脂肪が常に燃えている。 3 血中のケトン体値が高まり、尿中にカロリーと共に生理的に排泄される。 4 肝臓でアミノ酸などから糖新生が行われそれに高エネルギーが消費される。 一方、従来の「カロリー制限食」では、糖質を摂取するので A 血糖値が上昇して肥満ホルモン(追加分泌インスリン)がたっぷり分泌される。 B 体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。 C ケトン体は尿中に出なくなる。 D 肝臓の糖新生はストップする。 この<1、2、3、4>と<A、B、C、D>の比較をしてみれば、「糖質制限」のほうが「インスリン・スイッチが作動するカロリー制限食」より、ダイエット効果があることがお解りいただけると思います。 <1、2、3、4>に関しては、摂取カロリーとは全く無関係の生理学的な事実であり、あくまでも糖質を摂取するか否かが鍵となります。 このように、少なくとも同一カロリーである限りは、糖質制限が脂肪制限食よりダイエット効果が高いことは、理論的に証明できたと思います。 さて、しかしながら「糖質制限を実践してもなかなか痩せない」まれですが、そういう人が確かにいます。 高雄病院の入院患者さんで、150cm、90kgの女性がおられました。 1200キロカロリーの 糖質制限でも減量できずに、1000キロカロリーの糖質制限でやっと体重が減り始めました。 どうやら世の中には、痩せやすい人と痩せにくい人がいることは間違いないようですが、その大きな要因として基礎代謝があります。 吉田俊秀先生(京都府立医大臨床教授・肥満外来)によれば、日本女性の平均基礎代謝量は約1200キロカロリー/日ですが、個別には600~2400キロカロリー/日とかなりのばらつきがあるそうです。 単純には、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太るし、下回れば痩せます。 通常のカロリー制限食なら <消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生>です。 糖質制限なら <消費エネルギー=基礎代謝+運動エネルギー+食事誘発熱産生> に加えて、 <肝臓の糖新生でエネルギーを消費し、尿中ケトン体でエネルギーを消失> が追加です。 基礎代謝は、何も活動していない時でも人体の機能維持に必要なエネルギーで、男性で平均約1500キロカロリー、女性で平均約1200キロカロリーです。 運動エネルギーは、1万歩歩けば、標準体重の人が350キロカロリー、肥満の人は400~500キロカロリーを消費します。 食事誘発熱産生は、食事摂取中に消費するエネルギーですが、日本人は、平均200キロカロリー/日とされています。 こう見てくると消費エネルギーのなかで、基礎代謝が一番大きな割合を占めていることがわかります。 基礎代謝が800キロカロリー/日しかない人ならば、1200キロカロリー/日という低カロリーでもなかなか痩せないことは理解できますよね。 さて、1995年、米国アリゾナ州に居住するネイティブアメリカンの「ピマ族」に、「β3アドレナリン受容体」という物質をつかさどる遺伝子に変異が発見され、これを持つ人は糖尿病や肥満になりやすいことが報告されました。 この報告にヒントを得て、吉田先生が肥満外来の患者さんを調べたところ、34%の人に「β3アドレナリン受容体」の遺伝子変異が見つかったそうです。 この遺伝子変異があると、日本人では基礎代謝量が200キロカロリー/日も低下していて、他の人と同じように食べていたら太りやすく痩せにくいのです。 ピマ族や日本人に比較的多く見られるこの遺伝子変異は「倹約遺伝子」とも言うべきもので、脂肪をためやすく燃えにくいようにするものです。 即ち、摂取エネルギーを最大限に吸収し、消費エネルギーを最小限に抑えるという、私達の祖先がかつて食料不足で飢えに苦しめられていたころには、大いに有利に働いていたものと考えられます。 かつては「倹約遺伝子」として有利に働いていたものが、飽食の現代では「肥満遺伝子」と変貌してしまったわけです。(*_*) もし倹約遺伝子の持ち主であれば、女性で1200キロカロリーの 糖質制限でも痩せにくいことがあり、「 糖質制限+カロリー制限食(1000キロカロリー)」が必要となります。 というわけでめいりんさん、今摂られている800~1000キロカロリーくらいが妥当なラインかなと思います。]]>