糖質制限とは?(糖尿病編)
糖質制限は、今でこそダイエットで広く認知されていますが、元々は糖尿病治療のために始まりました。
糖質制限を簡単に言いますと、主食を食べない代わりに肉・魚・野菜などのおかずばかりを食べる食事方法です。
食事をすると、食物中の栄養が血液中に取り込まれ、全身に運ばれます。
栄養の中でも、三大栄養素と呼ばれているのが、糖質・タンパク質・脂質です。
その中で、唯一、血糖値を上げるのが糖質とされています。
血糖値が上がると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンには、筋肉などに糖分を取り込んで利用させる作用がありますが、エネルギーとして使われずに余った糖分を、中性脂肪に変換して体脂肪として蓄える働きがあります。
インスリンが、別名「肥満ホルモン」と呼ばれているのはこのためです。
糖尿病になると、インスリンの効きが悪くなるため、血液中の糖をうまく利用できず、血糖値が上がったままになります。
血糖値が180mg/dlを超えると、即座に血管の内側の壁に損傷を与えてしまいます。
このことが糖尿病の合併症が起こる原因となっています。(後の章で詳しく説明します)
現在、私たちが主食としているご飯やパンには、糖質が多く含まれています。この糖質を徹底して減らし、インスリンの分泌や血糖の上昇を抑えようというのが糖質制限の狙いです。
その代わり、糖質の少ない食品に関しては、ほとんど制限はありません。肉や魚などのタンパク質や脂質の多い食品を食べてもかまいません。
調理方法についてもとくに制限はなく、炒め物や揚げ物などの油を使った料理も大丈夫です。
飲酒を禁止しないのも糖質制限の特徴です。
日本酒やビールなどのいわゆる「醸造酒」は糖質が多くダメですが、焼酎やウィスキーなどの「蒸留酒」であれば、糖質が含まれていませんので飲んでも問題ありません。(ただし、量は程ほどに…)
このように、糖質の多い食品以外は、ほとんど制限なく食べられるのが糖質制限です。カロリーの制限もあまり厳しく行わないのも大きな特徴です。
また、糖質制限では、糖質の摂取量が少ないので、常に脂肪を燃やすエネルギーシステムが活性化します。
そのため、ダイエットにも効果的なのですが、この話はまた別項にて。
※ご注意
糖質制限によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる方は、低血糖の心配がありますので、必ず主治医と相談してください。
また、腎障害、活動性の膵炎、肝硬変の場合は、糖質制限は適応となりませんのでご注意ください。 糖質制限は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応となりません。 肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。必ず主治医にご相談下さい。